3月半ば、静岡で 一人暮らしの父が下血して自宅で自力で療養する父の様子を見守りつつ なるべく早く また 静岡へ来ようと計画していた4月7日・・自分自身が 風邪で寝込んでしまった。
まる二日眠って、あたまの重さがなくなって、8日 朝 思いもよらぬ 雪景色の長野を出発して、静岡へ。
まだ 快調とは言えないけれど、日常を動かせる程度の体力と集中力が 復活。
午後2時、約束どうり 焼津駅で 東京から合流する長男を拾って 父の暮らす実家へ。
近くのスーパーまで来て、なにか買い物がないか電話した。

(4月9日 父の家の庭の草刈りを始める長男)
長く電話を鳴らしたが、出ない。
「お父さん 倒れてるんじゃないかな・・・」不安を感じながら 食材の差し入れを買い物し、
家の前に車を停めて、
「まずは、お父さん大丈夫か見てくるね。」を車から降りたら・・・
なんと・・自転車にまたがった父と遭遇。かごの中には、魚の切り身がつつまれた新聞紙と 元気のいいネギ。
あ~!!魚市場まで行ってきたんだ。昔から里帰りすると 父が刺身を買いに行き、母が 寿司飯を用意してくれていた。
「お父さん、こんな雨の中・・疲れたでしょう。」
驚きを隠せない。
だって、昨日、電話した時、父の声は 元気がなかったし まだ本調子ではないと言ってたから。
荷物を部屋に運び込むと、いつもより片付いている。
「お父さん、片づけたでしょう・・片づけなくていいって言ってたのに・・・」
長男と父は 久しぶりの再会だった。
長男は 仕事をやめて再スタートする今、父の蔵書に興味を持っていた。父の蔵書は 図書館が開けるほどだ。
家の中に広い図書室があるが、本が収まりきらず、床から天井までぎっしりと 本が積み上げられている。半分は洋書だが、日本語もかなり。歴史、経済学、社会学、文学全集は古い時代のものからそろっている。
父は大学時代、一番ほしくて買えないものが本だった。大学の先生になっても、受け取る研究費に対して 専門書の値段が高くて ほしい本が買えない状況だった。それで、国立大学の教授をしながら私立の大学の非常勤講師も務めて その費用を稼いで本を買ったのだと話していた。今、長男は 自分の感覚に合うものを使う暮らしがしたいと思っている。デザインを仕事にすることの始まりに ひとつひとつのものを良く見て味わって精選して暮らしを彩りたいと感じてる・・でも、ほんとにほしいものは高くて買えない。父の話が 理解できる年代になっている。

(庭の選定をする次男)
長男と父が二人で話し始めて(ただ、父が話し続けるばかりなのですが・・)、わたしは、台所のお掃除と夕食の準備。
いつもは父がさばく 魚の切り身もわたしが さばいて、寿司飯、みぞ汁、炒め物。
ふたりの会話が落ち着いた頃、4人で夕食。夜は わたしが父の体にテルミ‐をかけながら 話を聞きました。
父の話には 終わりがありません。
時々、来ては 父が膨大な本から受け取った世界の仕組みについてお話を聞きながらの 家族時間は やすらかに更けてゆきました。

(きれいになった庭)
翌日は、長男が庭の草刈り 次男が庭の選定を引き受けてくれました。
父と母が この家を建てた時から 1本1本心を込めて植えた木々の歴史を 父が次男に、
草木の話を長男にしていました。
とても 大切なことが起きていると わたしは感じました。
木々のいのちは 両親のいのちよりも長く
木々のいのちは 両親の愛と祈りによって この場所にやすらぎをもたらし
その由来を 息子たちが知ることで この場所は愛され 守られて
息子たちも やがて 自分の場所に木々や草木を植えて 自分の子孫にやすらぎをもたらすことを 今 受け継いでいる